
RUN
Silent Drive
木曜の出勤・退勤10分、車内スピーカーを消し、ハンドルと呼吸だけで移動する無音ドライブ。

車内は移動中いちばん音が多い空間の一つです。ラジオ、ポッドキャスト、通話、ナビ音声。ハンドルを握ったまま耳は休めません。木曜だけ10分、スピーカーを消して運転してみてください。一週間の真ん中で、一瞬の静けさを入れるルーティンです。
月曜は一週間を開く緊張があり、金曜は締めくくりの高揚があります。木曜はそのどちらでもありません。仕事がたまっているがまだ終わっていない、あいまいな曜日です。このあいまいさに無音10分を乗せると、運転が瞑想に近づきます。
毎日しなくてもよく、木曜の出勤か退勤のどちらか一区間だけ決めておけば足ります。出勤路なら一日を始める前に、退勤路なら一日を下ろす前に。どちらでも10分あれば十分です。
エンジンをかける前にラジオとBluetoothオーディオを消します。ナビ音声は安全のため残しても構いません。最初はエンジン音と風の音だけが聞こえます。信号待ちでは呼吸が聞こえ、方向指示器の音がよりはっきりします。
同じ道を毎日通っても、音がないと別の感覚が先に立ちます。ハンドルの温度、ブレーキを踏む圧力、左折するとき体が傾く角度。慣れたコーナーで手が先に動くのを感じられます。
頭は今日の残りの仕事を思い浮かべたあと、ある瞬間ただ運転だけしています。考えが切れるその瞬間が、無音ドライブの核心です。目的地に着く1分前、スピーカーを再びつけても構いません。
窓の外の景色も違って見えます。音楽がないと信号の色、空の高さ、道端の木がよりはっきり入ってきます。毎日通り過ぎていた場面が目に触ります。
無音区間が終わったらスピーカーを再びつけても構いません。急に音楽が流れると、音がより鮮明に感じられることがあります。木曜10分の無音は一日全体を変えません。ただ一週間に一度、耳が休む移動があるという事実だけでも、運転の感覚が変わります。
渋滞に閉じ込められているときも無音は有効です。クラクションとエンジン停止のあいだ、自分の呼吸だけが聞こえる瞬間があります。音を消したからといって窮屈さが消えるわけではありませんが、頭が少し静かになることがあります。
最初は5分だけでも構いません。慣れたら10分、15分に伸ばしてみてください。木曜の無音ドライブは運転を新しく学ぶことではなく、すでに知っている道を別の感覚で歩き直すことに近いです。
同乗者がいるなら、あらかじめ「ちょっと静かに行くね」と言っておけば足ります。一人のときのほうが効果は大きいですが、短い無音は隣の席にも負担になりません。
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